春も嵐も
俺、1人で八百屋に行くのは無理そうだな。

美波さんに襲われたら怖いもん。

「あたしたち、もうそろそろで帰るね?

あんまり遅いと、お父さんがうるさいから」

美波さんの視線から俺を守るように、弥生は間に立った。

「ふーん、それは残念」

美波さんはフフッと笑いながら言った。

その顔はあきらかに何かを企んでいると言っても過言ではない

「嵐、行こう」

「おっ、おお…」

弥生に腕を引っ張られながら、俺は八百屋を後にした。

「あーも、八百屋じゃなくてスーパーにすればよかったー」

ガシガシと後頭部をかきながら、弥生が言った。
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