春も嵐も
「いい、嵐!?

あんな女にひっかかるんじゃないわよ!?

ウサギの毛皮をかぶったオオカミとは、まさに美波のことだから!」

弥生が早口でまくしたてるように言った。

その言い方、めちゃくしゃクレイジーじゃねーか?

余計に八百屋に行きたくねーんだけど。

「ってか、大丈夫だから」

俺は言った。

「俺、肉食オオカミよりも草食ウサギがタイプだから」

そう言った俺に、弥生はわかっていないと言う顔をした。

「そう言うヤツが1番狙われるの!

あたし、美波が男をガッツリといただくところをこれまでに何回も見たんだからね!?」

急に熱弁になった弥生に、俺は何も言えなかった。
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