春も嵐も
何でここでと思ったが、何となく俺は初恋の思い出を振り返った。

俺の初恋は…あまりにも昔過ぎて、よく覚えていない。

小学校の頃だった気もするし、幼稚園の頃だった気もする。

曖昧過ぎて、よくわからない。

好きになった女の子がいて、その子がどう言うタイプの女の子だったのか…。

夜も寝られないくらいに彼女を思って、少女マンガのヒロインみたいに星に願ったり、電信柱に顔面をぶつけたり…。

こうして振り返ってみると、笑い話のネタにしかならない。

と言うか、俺の方がめっちゃクレイジーじゃねーか?

幼い頃の小さな恋だって言うのに、俺も若かったよな。

うんうんと首を縦に振ってうなずいている俺に、
「嵐?」

弥生が俺の名前を呼んだ。
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