春も嵐も
「物心がついた時にはお母さんは死んでたし…それでドライな性格だから、“クールな子”とか“興味がなさそう”とかそんなことを言われたんだ。

いじめられはしなかったけど、周りがあたしを敬遠してることは薄々とわかってた。

あたしはこんなんだから美波以外の女の子とは長続きしないし、彼氏との関係も3日で消滅したわ。

躰どころか唇の関係もないままで」

「ふーん」

「そのうち、1人でも悪くないかなって思った。

友達なら美波がいるし、そんな感じ」

話過ぎたと言うように、弥生はため息をついた。

「――だから、よ」

ポツリと、一言だけ弥生が言った。

「今までだって、そうだったもん」

ため息混じりに弥生が言った。
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