春も嵐も
弥生の話を聞きながら、俺はぼんやりと思った。

俺も弥生と同じ、物心がついた時には父親はいなかった。

母さん曰わく、俺が生まれる前に他の女と駆け落ちしたとのことである。

父親がいないことで寂しい思いをしたけれど、必ず友達がいてくれた。

母さんも一生懸命頑張ってくれた。

周りからバカにされても、母さんは相手に言い返して俺を守ってくれた。

肩身の狭い思いをすることもあったけど、そう言う時は仲間が俺を励ましてくれた。

クラスの女子に隠れて誰が1番かわいいかなんてランキングを立てたり、くだらないバカ話で盛りあがって担任から叱られるのは日常茶飯事だった。

ファミレスのドリンクバーで変な飲み物を作ったり、夜遅くまで繁華街を歩いてて警察に厄介になったり…我ながら、ロクでもナナでもない青春時代を過ごしたなと自分でも思う。
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