春も嵐も
商店街のソフトボールチームではピッチャーをしているんだとか。

すげーとしか言いようがない。

「テンションの高いわりにはへこむと大変なんだよ。

あいつの頭ン中をぜひとも見てみたい」

そこまで言いますかね、梓さん。

そんなことを思っていたら、
「おい、店を任せる」

親父が出てきた。

「どっか行くの?」

俺が聞くと、
「商店街の集まり」

そう返事をすると、親父は店を出て行った。

ったく、俺の名前は“おい”じゃねーつーの。

“嵐”っつー立派な名前があるんだから。

親父も親父で、さっさと息子だって認めればいいのに。
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