春も嵐も
翌日。

弥生につきそわれて、俺は八百屋を訪ねた。

「あら、元気になったの?」

のん気な顔で聞いてきた美波さんに、
「みーなーみー、あなたは一体何を考えているの!?」

弥生は聞き返した。

ただごとではない様子の弥生に、
「何が?」

美波さんは首を傾げて聞き返した。

「“何が”じゃなーい!」

弥生の叫び声が商店街中に響き渡ったのは、言うまでもない事実である。

梶原家の居間に俺たちはいた。

「それで、あなたは一体何を企んでるの?」

ちゃぶ台を囲んでいるのは、俺と弥生と美波さんの3人である。

「企んでるって、人聞きが悪いことを言わないでよ」

なだめるように美波さんが言ったけれど、弥生の機嫌は斜めに傾いたままである。
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