強がりも全部受け止めて
「お見合いも仕事の一環だなんて、独身の重役の方って大変なんですね」




目を見開いて私を見る。




『まさか、君が今日の…』



あの日、部長に見合い写真を手渡されたとき、正直冗談じゃないと思ったわ。




でも無理矢理見せられた中身の写真。息をするのも忘れるくらい見つめてしまった。




だって会いたいと思ってた人が。
ーー相田さんが写っていたんだから。




部長が教えてくれたあなたの名前。年齢。会社に役職名。




あっという間に知った情報に、嬉しさを通り越して戸惑いを感じたほどだったのよ?




なのに、相田さんは見合い相手である私の写真も見てなかった。





一人浮かれて今日を心待ちにしてた自分が恥ずかしい。




「上司を待たせてますので先に席に戻ってます。

私と一緒に席へ行くと何かと不都合かもしれまんものね」




なんてイヤミな言い方なのかしら。自分で言って嫌気がさしてくる。




『君は「席でお待ちしてます。私の自己紹介はその時にでも」




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