強がりも全部受け止めて
何か言いかけたのを制して言いきり、私は彼の前を横切った。




もう、素直になんて…無理よ。




「ーッ!?」




後方にグイッと引っ張られ、振り返ると眉間にシワを寄せた相田さんが腕を掴んでいた。




『不都合じゃありませんので一緒に行きましょう』




「え?あ、ちょっと、」




腕から手を離してくれたと思ったら、肩を抱かれてそのまま歩き出す。




突然のことでされるがままの私を、相田さんはラウンジの部長の元へ一直線に向かって連れていった。




私を確認して驚いた顔をした部長。どういうことだって顔で私を見てきてるのがよくわかる。



だけど、私だって今のこの状況に驚いてるの。




だから説明できません。口には出来ないから目で部長に訴えた。




困惑してる部長や私のやり取りを知ってか知らずか相田さんは私の肩を抱いたまま離そうとしない。




そしてそのまま『こんにちは。先日は大変お世話になりました』と挨拶をしたのだった。




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