強がりも全部受け止めて
『まあ、そういうことなら・・・。後は若い2人でこのホテルにある中庭でも』



ニヤニヤと私たちを見つめる部長の視線がやけに腹立たしく感じる。
そういうことってどういうことよっ。




お見合い定番のセリフを吐く部長に相田さんは頷いて、
『じゃあ行こうか』と私の肩を抱いたまま、わけも分からないうちに連れ出されてしまった。




          






一歩外に出ると、日差しがまぶしくて、目を細めた。同時に相田さんが肩から手を離す。
そして私の半歩前を歩いてく。


温もりが急になくなって寂しい。相田さんの背中を見つめながら漠然とそう感じた。




中庭には大きな池のあるとてもきれいな日本庭園だった。



その前で足を止めたので、私もならって止まる。



「--」
『--』



無言。ひたすら無言。
お互い気まずさが漂っているのが分かる。





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