強がりも全部受け止めて
耐えきれずに口を開いたのは私だった。




「どうして私の名前知っていたの」




『あの夜、一緒に帰った男に呼ばれてたのを聞いてたから』




なるほど。そういえば義彦が名前呼んだわね。




「…親しい仲、だなんて」



『ーーいけなかったかな?』




「ーッ当たり前です!あんな言い方したら誤解されます」




部長のにやついた顔を思い出す。あれは絶対誤解してた。




今ごろこのお見合いはうまくいくに違いないってほくそ笑んでるに違いない。




『誤解?別に構わないよ』



当たり前と言わんばかりの態度に、くらりと目眩がした。




外は日差しも強くなってきて、暑いくらいなのに、私の指先は氷を掴んでるみたいに冷たくなる。




それほど相田さんの言葉がショックだった。




< 47 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop