強がりも全部受け止めて
もう一度言われた好きという言葉にピクリと体が反応した。




頭が、胸が、相田さんの『好き』の言葉で一杯になる。





『だから由梨さんに僕がお見合いに来てると知られたくなかった。

それで仕事だと嘘をついて誤魔化したんだ』





ゆっくりと顔を耳元から離して、私の顔を近い距離で見つめる。




『由梨さんには仕事だと言ってしまったし、それを覆すには態度で示すしかないと思って強引に連れ出したんだ。

仕事なんかじゃないとわかってほしかったから』




そういった相田さんの表情はとても真剣なもので。





『信じて…くれる?』






探るように聞かれた言葉に、小さく頷くと、滲んでた涙が雫となって溢れ落ちた。






『泣かせたくなくて言ったのに』





困った顔で、でも微笑み涙を指で拭ってくれる。
悲しくて泣いてるワケじゃないって知ってるからね。



だから私も同じように笑って見せた。



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