強がりも全部受け止めて
今から向かうって言っていたから、電話では済まない用事なんだろう。




せっかく、気持ちが通じ合えたばかりなのに。




まだ、一緒にいたい。もっと色々話したい。




でも、仕事なら仕方がないし・・・。




俯き、悶々と悩んでいると、突然相田さんが下から覗き込んできた。




驚いて一歩後退し、叫びそうになるのを寸でのところで抑えた私に、
後退した分、近づいてきて首を傾げながら聞かれた。





『・・・何を考え込んでるのって聞かなくても分かるくらい顔に出てるね』





どこか嬉しそうなのはどうして?




『僕が仕事に行くとかって思ってたんじゃない?』





「・・・相田さん、鋭いですね」





『由梨さんがわかりやすいんだよ。今由梨さんがどんな気持ちなのかも何となく察しが付いてしまう』




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