強がりも全部受け止めて
ようやく話もついて、通された食事の席は2人で使うには落ち着かない広さの個室だった。





『大人気ないところを見せてしまってすまない』





2人で向かい合って座ると、相田さんはいきなり私に向かって頭を下げてくる。




専務さんとのやり取りを言っているんだろう。バツの悪そうな顔をしている。
別に謝ることでもないのに。




「全然気にしてませんよ?相田さんが必死に抵抗したのも分かりますから」




嬉しかったと言ったらどんな顔をするのかしら。
あんなムキになって言い合うんだもの。相田さんの新たな一面が見れて得した気分だわ。




クスリと自然に笑みが零れる。相田さんはそんな私を見て不思議そうに首を傾げた。





「あのまま4人で食事なんてしたら、からかわれておいしく食事なんて出来なかったでしょうからね」





私がそういうと、相田さんは困った顔で『違うよ』と言った。





「え?」




『僕が必死に抵抗した一番の理由は、からかわれるからじゃない』















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