今宵星
エレベーターに乗り込み、一気に四階まで上昇する。
インカムを付けたボーイが、何やらごそごそと話をしていて、それがやけに耳に障った。
エレベーターが止まり、機械音とともに扉が開かれると
あぁ、いかにもというような身なりをした女性が、三人
胡散臭い笑顔を張り付けておじぎをした。
『幸さんいらっしゃあい』
『今日ママは?』
『今ちょっと二階にいるから、すぐに来ますよ』
靴を脱いで、奥の部屋に案内される。
案内された部屋は、最初は驚いたもののこう何回も来ているとなると、すっかり慣れてしまっていて。
奥に幸さん。
それを挟むように、二人の女の人、梓さんと美香が座った。
あたしの隣には、一番歳も近いらしい、朋美さんという女の人が座った。
幸さんが煙草を取り出すと、ササッとマッチで火をつける梓さん。
幸さんと話をしながらも、お酒を作って、灰皿の管理もして
他の女の子に、目で何やら合図をして
色んなところに気を注意させて
だけど、この人たちの心はどこにあるのだろうか。
視線を向けられているはずの幸さんは、ある意味でほとんど眼中に入っていない気さえした。