桜の見える丘(仮)

キッチンからヒョコっと顔だけだしたお母さんは…声は可愛らしくしているものの…目が笑っていない。


このときのお母さんには逆らってはいけないと、家族の中での暗黙の了解といか…約束事なのだ。


怒らせると、手がつけられなくなる。


「は…はぁーい。朝ごはん嬉し…いなぁ~。」


余裕を持って学校に行こうと思ってたのに…。


朝ごはんを食べ終えると、いつもとそんなに変わらない時間だった。


「んじゃぁ、いってきまーす!」


「いってらっしゃい~」


はぁ…今日は早く学校に行こうと思ってたのに…。


ってか、学校の課題ちょっと残ってるんだよなぁ…。


ハァと玄関でため息を落とす。


――――ガチャ


ドアを開けると…


「な…なんで神谷がここにいるの!!」


私の家の前の壁にもたれかかっている神谷。


っく…ただ壁にもたれて立ってるだけなのに無駄にかっこいい…。


「なんでって…『彼女』と一緒に学校登校しようと思って~。」


一緒に…登校…。


な…なんか付き合ってるって感じじゃぁん!


「ねぇ。なに赤くなってんの。」





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