桜の見える丘(仮)
「ばっ…!別に赤くなってない!!」
「なってるよ。自分でわかってないんなら見る?」
制服の胸ポケットから携帯を取り出して写真を一枚―――
「ちょっ。何撮ってんの!?」
写真を撮った携帯の画面を私に見せる。
耳まで赤くなった私の顔がそこにあった。
「ほらね?俺、うそつかなぁ~い。」
「べっ別に少し赤いぐらい!!いっいいじゃない!」
「俺は別にいいよ~?ただ―――… 」
「ただ?」
「男に少しでもそんな顔してみな?食べられても知らないから。」
ッフと鼻で笑う。
「た…たべられるってなんだぁあああ!」
私の声など無視して、スタスタと先を歩いて行く。
「ちょっと!待ってよぉ!」
私の声を聞いて止まってくれたのか神谷の歩くスピードが遅くなった。
「ほんと…歩くの速すぎっ!」
「どうして俺が前沢の歩くスピードに合わせて歩かなきゃいけないの?」
…は?
「あのね…女の方が歩くの遅いに決まってるでしょ!?男なんだから女にスピード合わせてよ!」
「ん~、まぁそりゃそうだねぇ。」