桜の見える丘(仮)
その子に続いて…「そうだよー!」「なんで決められなきゃいけないのー?」などと…文句をみんなが言っていく。


稲本ちゃんの顔は…少しずつ…目が笑わなくなってる…。


「そっかー!みんなはもう…練習してるの見れなくなってもいいんだね!!」


「え…それはちょっと…」


「なんで?あたしの言うこと聞けないんでしょ?約束…守ってないし。」


可愛らしく言ってるけど…それを聞いてる女子達は顔が真っ青になっていく。


「…ご…ごめんなさい。」


きっと、過去に何かあったのだろう。


反発していたのがウソみたいにみんなちっちゃくなっている。


「謝っても…一週間はここ。見にきちゃだめだからね?」


なんという満面の笑み…。


可愛いのに…怖いよ。


女子達はしぶしぶ帰っていった。


急に大群がいなくなったことに神谷が驚いた顔をしている。


「まじ…なんだよあれ…。あぁ、サンキューな。」


飛ばされてその場にしゃがみこんでいる私はスルーして稲本ちゃんのとこに急ぐ。


その時に、聞こえてしまったのだ…。


私が相手にされない理由を…。


「今日の帰りも一緒によろしく。忘れないでよ?―――――――」
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