桜の見える丘(仮)
今日の…帰りも…?一緒に…?忘れないで…?
な…なんのこと…?
「あ、前沢。話って…何?」
「ううん、何にもない。部活がんばって。」
神谷の顔は見ずにその場を去る。
そうだ…聞き間違いかもしれない。
ボソボソって…少し聞こえただけだから…。
確かめて…みよ…。
「ねぇ…神谷。今日は一緒に帰れる?」
背中を向けたまま言う。
お願い。聞き間違いだったと思わせて。
お願い……!!!
「あー…悪ぃ。今日はちょっと…先帰ってて。」
「神谷君!!早く、パス練始まってるよ!!急いでー!!」
「んじゃ!気ぃつけて帰れよ。」
……そっか…。
はは…そうだよね。
聞き間違いなんかじゃない…よね。
やっぱり…私は重かった…ってこと…?
ねぇ…。不安がひとつ消えたら…また不安が出てきちゃった。