桜の見える丘(仮)
あれ…葵ってこんな子だったっけ?
「葵…なんて可愛い奴なんだ!!最近、もめごと多くて葵に構ってなかったからねぇ…。寂しかったんだろっ!!女では一番葵が好きぃー!!!」
両手を広げて葵に抱きつきに行こうとすると。
「なに…気持ち悪いこと言ってんの…。女で一番私が好きって…。あんたはレズかっ!」
抱きつくのではなく、おでこを人差し指でついてきた。
「いったっ!!なにすんの…。レズじゃないし!!私付き合ってるんだよ!!」
「誰と?」
…あれ?葵の声…じゃないよね。
それは…私の後ろから…私の頭上から…聞こえてきた。
葵の目線は…私を通り越して頭の上らへんに目線がある。
そこには…。部活に行く準備を終えた…私の彼氏。
「ぅ…!!だ…誰って…。」
「誰?教えてよ。」
部活行く前のくせに…私をからかって何が楽しいんだ!!
「ちょっと!!!!イチャイチャするのやめてよー。それでなくても暑いのに。もっと暑くなる。」
ハァー…と大きいため息をつく。
そういえば、最近…葵ため息ばっかりついてるよなぁ。
どうしたんだろ…。
「ため息ばっかついてっと…幸せ逃げるぞ。」
きっと、神谷の優しさの一部であろう言葉。
その言葉を残して神谷は部活に行ってしまった。