桜の見える丘(仮)
家に上がってもらい、今は私の部屋。
ベッドの上にちょこんと座る葵。
「ねぇ…葵。どうして恋したくないの?いいものなのにさ…。」
葵のくもった顔は一段と暗くなる。
「美姫はいい恋してるからいいんじゃない?いい恋とよくない恋だってあるんだよ。」
いったい…葵の過去に何があったのか…。
先が見えないよ…。
「「……。」」
2人に会話が途絶えてしまった。
静かになる部屋。
その沈黙を破ったのは葵だった。
「こんなこといきなり言われてもわかんないよね…。美姫にはちゃんと言っとこうと思って…。聞いてくれる?美姫からしたらしょうもないことかもしれないけど。」
葵が無理して笑う。
そんな…悲しい顔で無理して笑わないでよ…。
笑顔は…無理して笑うものじゃないよ…。
「しょうもないわけないでしょ!!すっごい大事なことだよ!!勇気だして話そうとしてくれてありがとう。葵のペースでいいから。ゆっくりでいいよ!」