桜の見える丘(仮)
「えー?あの後輩の女の子?まじかよ!!あの子かわいいなーって思ってたし!まじサンキュー!!」
先輩の友達は飛び跳ねるように喜んでる。
「お姉ちゃん…大丈夫…?」
真美が心配して声をかけてくれてる声は私の耳には入らない。
私の頭の中で繰り返される先輩の声…。
『いらねぇんだわ。葵ちゃん』
いら…いらない…。
先輩は私がいないのをいいことに…次々にしゃべっていく。
「だってさー…、双子らしいんだけど妹かわいすぎてさ!!姉の葵ちゃんと比べ物になんねぇ!!あれはまじで俺のものにしてぇー!!!」
ま…真美がいいのか…。
そうだよね。真美かわいいもんね。
私が勝てるものなんて…ない。
あまりのショックに持っていた弁当箱が落ちてしまった。
その音に敏感にこちらを向いた先輩達…。
「ぁ…ぇ…ぬ、盗み聞きする気じゃなかったんですけど…。」
先輩の顔は一切見ずに適当にことばを言う。
「すいませんでした。」
ペコっと頭を下げて屋上から逃げようとすると…
「盗み聞きとかまじありえねぇわー。」