桜の見える丘(仮)
その声に私の足は止まる。
「盗み聞きとか…軽くストーカー入ってんじゃね?まじキモいんですけど。ってか、あんたらほんとに双子?見えねぇんだけど!!妹に可愛さとか全部取られちゃった感じ?それって、ただの抜け殻じゃん!!あっはっはっははは!!!」
「おい!それは言いすぎだって…。いい加減やめとけ。」
先輩の声はいったん私の頭の中をぐるっとまわってから…理解されず消えてゆく。
「うっせぇな。あげるっつってんだ。俺に感謝しろよ。」
「だからって…。っ!!!」
キッっと先輩に睨まれた友達は言葉を詰まらせ…何も言えなくなる。
先輩は私たちに近づいて来て、私がつかんでいた真美の腕をつかみ、
「葵ちゃん。その手離してくれる?」
顔は笑ってるのに目が私を睨む。
その目に怯えを隠せない私は真美をつかんでた手の力が抜ける。
「いい子だね!んじゃぁ、お前は向こうに行ってろっ!!」
真美をつかんでる手とは反対の手で私の腕をつかみ友達の方に私を放り投げる。
急にものすごい力で腕を引っ張られたことでバランスが崩れ、倒れこむ。
「真美ちゃん?俺、君に一目ぼれしちゃった!俺と付き合ってくれない…?」
真美は迫られ、背中には壁がある。
「葵ちゃん…大丈夫?」
その場に倒れたまま起き上がらない私を心配したのか近づいてきた。
その時に頭の中をめぐる会話…。
『お前にあげようじゃないか』
『やったー!まじで?サンキュー!!』