桜の見える丘(仮)

―――――ガタンッガタンッ


今は電車の中…。向かい合う椅子だけど…なんだこの空気。


まぁ…その空気をつくってるのは私と神谷なんだけどね…。


葵達は必死に私たちの機嫌をとろうとしてるけど、それも軽くスル―。


こんな…こんな悪い空気で始まってしまったなんちゃってデート。


まだ付き合ってない葵達だから、なんちゃって?みたいな…!


「見て!!!!!海見えてきたよぉ!!」


「うわぁ…まじキレー…。」


2人は目を輝かせて窓を見る。


機嫌悪い…けど横目で少しだけ窓の方を見ようとすると…


2人が勢いよく窓を開けたことによって、ブワッと風が私たちにぶつかりに来た。


「うわぁ!すっげぇ風!」


目を細め、髪を押さえながら窓を少し見る。


そこには…キラキラと太陽の光で輝きを増した透明感のある海…。


砂場にはカラフルなパラソルなどが見える。


窓の外を見ていたはずなのに…横に座っていた神谷の方をちらっと見てしまう。


なんでこいつ…こんなに顔整ってんだよ。


私の視線に気づいたのか、私の方を見た。


私はつい、目を合わさないようにそらしてしまった。




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