桜の見える丘(仮)

「なに……わけわかんない…。理由言ってくれないし…考える時間ちょうだい。」


その場を逃げようとする。


「美姫!!!!」


神谷のせいでこうなってんのに…呼びとめないでよ…。


「なに…。話すことないんでしょ?…だからもう行っていいかな…。」


背中を向けたまま神谷の方に体は向けない。


顔みたら…なんか…好きって実感しそうだし…。


こんな状況でって思うかもだけど…。


この怒りを…ぶつけてしまいそうだし…。


なにより、泣きそうだ…。


「違うんだよ…ほんとは…!!!」


「何が違うの!!!!!!別れてって言ったのは神谷じゃん!!!もう良いよ。言いにくいことなんでしょ。聞いてごめんね。大丈夫、ちゃんと"友達"として接するから。じゃ。」


神谷の言葉は遮って、私だけしゃべってもう一度その場を離れようとする。


「待てって!!!」


私の腕をつかんで動きを止めてきた。


「離してっっよ!!!!!!!」


力を全部使うよに神谷の腕を振り払った。


つかまれた腕は神谷から離され、私はもうダッシュで逃げる。


濡れた頬を乾かす風…。


けど…すぐにまた涙が頬を濡らすんだ…。


< 246 / 301 >

この作品をシェア

pagetop