桜の見える丘(仮)

「私はフってないよ!!!!!」


私が勢いよく立ったせいで、ガタッと椅子が音を鳴らしながら倒れる。


クラスメイトの視線が痛いほど私に集まる。


「あ…ごめん…。」


そう謝ったのは、私ではなく稲本さん。


私がいきなり大きな声を出したからびっくりしてつい謝ってしまったみたい…。


「いきなり大声出してごめん…。」


倒れた椅子をおこして、座る。


「いや…大丈夫。でもさ、美姫ちゃんフってないんでしょ?じゃぁ…なんで?」


「それが…私もよくわかんなくて…。」


稲本さんに神谷との出来事を話した。


「両想いなのに別れるとか、まじ意味分かんないじゃん!!!でも…なんでいきなりそんなこと言いだしたんだろうね…。もし、余計なお世話でなかったら神谷君に聞いとこうか?」


「え…いや…いいよ。そんなことしなくても。ちゃんと…神谷の口から理由聞きたいし…。」


「そっかぁ…。んまぁ、そうだよね!普通!!ごめん!余計なお世話だったね!!」


「そんなことないよ!!すっごい嬉しい!ありがとね!」


ほんと…稲本さん、明るいし良い子だなぁ…。


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