桜の見える丘(仮)
「美姫ちゃんやんね?初めましてー!!俺、隣のクラスやねんけど…知ってる?」
滑舌よくペラペラ関西弁をしゃべるこの人…。
初めて会う人だけど…なんか見たことがあると思っていたら、隣のクラスか…。
ってか、いつの間にこの席まで来てたの…。
「いや…顔ぐらいは見たことあるけど…。」
「あちゃぁー!!知らんかぁ…。俺もまだ知名度低いなぁ…。」
自分のおでこをペチッと叩く。
『めっちゃ久しぶりの登場やからなぁ…。でも裏で俺、めっちゃ活躍してんねんけどなぁ…。誰も見てくれてへんねんやろなぁ…。』
と…誰に向けて話しているかわからない言葉をブツブツ呟いている。
しまいには…
『きっと、誰も俺のこと覚えてないんやで…。誰?こいつ。とか思われてんねんで…。』
と、一人で落ち込んでいってその場に三角座りをした。
グンッと高かった背が縮んでいき、みるみる小さくなって私の足元にころがっている。
え…私、どうしたらいいの…?
「あ…えっと…あの…、大丈夫ですか…?」
「大丈夫…ちゃう…。」
え…なんでそんなに落ち込んでるの…?
私になにか用があってきたんじゃないの!?