桜の見える丘(仮)
チャイムが鳴り、先生が教室に入ってくる。
数学…めんどくさぁい…。
大きな黒板にスラスラと数字や記号が書かれていく。
その数字たちをノートに写すのに必死。
でも…数字みてるとすっごく眠たくなるんだけど…。
うとうとし始め、瞼が落ちそうになる。
その時、前の奴の手が私の机の上に折りたたまれた紙切れを置いた。
「……?」
重たい瞼をパチパチさせながらその紙に手を伸ばす。
先生にばれないように机の影で開く。
そこに書かれていた言葉が…
『寝るなよ。アホ。』
だった……。
何事もなかったように普通に黒板の文字を写している神谷にちょっとイラッとするものの、さっきの出来事を少し気にしている神谷の優しさだと私は思った。
いらないプリントの端っこを破り、返事を書く。
でも、どう渡したらいいかわからなくて…つんつんと背中をつつく。
神谷はちょっと後ろを向いて、手紙の返事とわかったのか、手をこちらに向けて「渡せ。」と言わんばかりにクイックイッとジャスチャーする。