桜の見える丘(仮)
私はその手に手紙を乗せる。
手はスゥと戻って行き、先生にばれないように前を気にしながら私の返事を読んでいるようだ。
返事は…
『なんで眠たいのわかってんの?後ろ見てたんだー。』
これの返事が
『ん?後ろ見てねぇよ。なんか、眠いってテレパシー来た。』
なんて、つまらない返事。
でも…こんな風にしゃべらなくても近くにいて、気持ちが通じてるってことがすごくうれしい。
この手紙のやり取りは、授業が終わるまで続けられた。
つい、手紙の内容を見て笑いを堪えることがあったり…私がどんな顔するのか反応を楽しむために神谷がわざと後ろ向いてきたり。
授業はあっという間に終わり、先生が教室から出ていく。
チャイムでハッ!と我に返り、黒板を見ると…ノートに書いていない数字や記号がびっちり。
「うわっ!!ノート全然書いてなかった…!!!」
とにかく急いで黒板の字をノートに写す。
神谷は手紙の返事を待っている間に書いていたらしく…ニヤッと私の顔を見た。