桜の見える丘(仮)

ありがとう!と笑顔を見せて、私の耳元でボソボソと言葉を残して柏木君はバスケ部の元へ帰って行った。


私はその言葉にほんのり赤くなる。


『俊、練習がきつくなってくると必ず呟くんだ。"美姫…"って!なんか、おまじないみたいだよな。』


おまじないって…。ただ、私の名前言ってるだけじゃん…。


でも、ふふって笑いがこぼれてしまう。


神谷は、練習中私のことを忘れないで頑張ってくれてる。


私のために、試合を勝とうとしてくれてる。


ただ、それが嬉しくて…。


少しだけ後ろを見る。


一瞬、神谷と目があったような気がした。


私はすぐに前を見て、小走りでバスケ部との距離をつくった。


こんな風に距離はあっても…神谷との心の距離は変わらず側にいるよ。


信じてるからね。


神谷達が勝ってくれることを、ちゃんと祈ってるから。





―――――――ちゃんと…信じてるから…







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