桜の見える丘(仮)
ある日…昼休みの時呼ばれた。
稲本さんに…。
屋上への階段を無言で私たちは上る。
ドアを開けると、ビュウと風が入りこんでくる。
丁度いい気候なのに、屋上には誰もいなかった。
多分、この風のせいだろう…。
稲本さんは私の前を歩き、屋上の真ん中らへんで立ち止まる。
「……………。」
無言の2人…。
ただ、風が騒がしく私たちの髪を揺らすだけだった。
先に口を開いたのは…稲本さんだった。
「……美姫ちゃん…。もう、私の態度とかでわかってると思うけど…。私、神谷君のこと好きだから。」
目をそらせないような…真剣な眼でこちらをみる稲本さん。
「………。」
どう言葉を返したらいいのかわからず…つい無言になってしまう。