桜の見える丘(仮)

「あぁ…気が重いなぁ。」


ゆっくりと支度をしてお母さんに、いってきます。と言葉を残し、家を出た。


いつもなら徒歩で行くけど…今日は学校に用があるわけじゃないし…。


自転車で行こう。


ガレージから自転車を取り出し、学校に向かう。


徒歩とは違い、あっという間に学校に着いた。


学校の中に自転車を止め、体育館に歩いてく。


近づくにつれて、もう練習が始まっているのか少し声が聞こえる。


入り口付近まで行ったものの…ドアを開けることができなかった。


もう練習は始まっていたし、何よりドアのすぐ横に稲本さんがいた。


「どうしよう…。帰りたい…。」


はぁ…、とため息をひとつ落とした。


その時…


「ため息1回につき、ひとつ幸せが逃げるわよ。」


少し頭の上から声が聞こえた。


「あ…。」

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