桜の見える丘(仮)

「なによ。嫌な奴に会った、みたいな顔して。失礼だね。」


「そ…そんなことは…。」


少し思ってしまっていたことを見透かされて、少し慌ててしまう。


「ふん。まぁいいわ。神谷君に呼ばれてるんでしょ。」


「そ…そうだけど…」


「だったら練習始まる前に来なさいよ。観客は2階で見てて。」


そう言い残して私が重いと感じたドアを軽々しく開けて中に入って行く。


「…はい。」


稲本さんがいなくなった後だけど返事を残す。


2階というのは…


私たちの体育館は新しく建て替えられたもので、設備がすごい。


次期の大会はここで行われる、と言われているほどだ。


そのため、少しながら観客席が設けられている。


観客席に行くためには、あの重いドアを開けなくても外から入れるのだ。


私はそちらの入り口に回り、階段を上がって行く。
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