桜の見える丘(仮)
私のそばから離れていく。
「ほっとかないで!!!」
あれ…私…何してんだ?
私に背中を向けて遠くなっていく神谷の制服を…。
ギュッと握った。
動かなかった足も追っかけるときに自然に動いた。
きっと今…私顔真っ赤だ…。
でも、顔を見上げずにはいられない。
神谷は月明かりで美しく照らされている。
ドキッ――
そこには…やさしく微笑むような顔。
「やっぱ、怖いんじゃん。ほっとけなんていうなよな。待ってやってんのに。」
微笑んでいた顔はすぐに意地悪な笑みに変った。
「おい。帰るぞ。」
私は、掴んでいた制服をぱっとはなした。
ななななな、何やってんだ私!!