孤独の天使―Silver Angel―
「サラ、シェーン教授の机で良いんだよね?」
プリントを片手に持ち、もう片方の手で扉を開ける。
何気ないそのレディーファーストの仕草が完璧すぎて、あたしは何も言わずにただコクンと頷いた。
教員室に入るといっせいに教授たちがこっちを向いた。
当人の教授はいなかったので教授の机にプリントを置いた。
「ありがとうございました」
一応いけ好かないヤツでも、礼儀を忘れるわけにはいかへんしな。
「サラ……」
なんだ?と思って顔を上げると、
チュッッ
『んぎゃぁ!!何すんねん!!』
アレイシスが頬にキスをしてきた。
なんでなんで!!あたしサンキュウベリマッチしか言うておらへんで!!
頬を抑えてアレイシスから飛びのいたあたしは、思いっ切りアレイシスを睨んだ。
そんなあたしとは逆に、爽やかな笑顔で去っていくアレイシス。その姿が美しくて、まるで映画の1シーンを見ているようだった。
『完全、負けや……。』
あたしはとぼとぼと教員室をあとにした。
『あっははは!!代表、サラのこと相当気に入ってんね!』
あたしは今、リアンとお昼を食べている。