地味子な私と、人気者の彼

 私にもその強運分けて欲しい、なんて思っていると、彼が嬉しそうに席に戻ってくる。


「強運のおすそ分け」


 すっと差し出された大きい右手……思わずその手の平の上に、自分の右手を重ねていた。


 初めて手と手が触れ合ったその瞬間、回りの景色が真っ白くなった。


 私と彼だけの世界――そんな風に思える一瞬だった。


「私も後ろになれるかな?」


「強運もらったんだし余裕だろ!」

< 103 / 258 >

この作品をシェア

pagetop