地味子な私と、人気者の彼


「この紐を破くのはアタシの役目じゃないよ。それに……これはこういう本で、ここにあったのはお前さんに貰ってもらう為だしね」


「……はぁ……」


 ワケが分からないまま、私はその本屋を後にした。


 お婆さんはボケていたのか?

 それとも紐を切るのが面倒くさかったのか?


 考えても分からなかったが、私は貰った本を大事に抱きかかえながら急ぎ足で家へと向かった。

< 19 / 258 >

この作品をシェア

pagetop