地味子な私と、人気者の彼
「作者は?」
本を引っくり返してみても、作者も定価も何も書いていなかった。
所々に茶色の小さいシミがぽつんぽつんとついているくらい。
「汚い――それに中は何も書いてないじゃない」
パラパラとめくってみると、真っ白というよりは何十年も経ったような色をしていた。
茶色く淀んだ紙は、丁寧に扱わないと破れてしまいそうなほどだし、それに中には文字なんて何も書いていなかった。
おまじないどころか目次すら見当たらない。