地味子な私と、人気者の彼


「……やっぱり無いよね」


 戻る時にも注意して見たし、今帰る時もきちんと見た――が、あの本屋は無かった。

 
 狐につままれた様だって言葉がしっくりくる感じ。


「ならあの本は!?」


 本屋でもらってきたあの本――でもその本屋が無いって事は、あの本は私の手元に無いのが正しい。


 急いで帰って確認したけれど、あの本は例の場所に仕舞われたままだった。

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