memoire




まさか自分があんなにも
呆気なく恋に落ちるなんて予想すら出来なかった。



実際、同学年の男子なんか
まだまだガキで
幼稚な存在としか思っておらず



女の子が集まってする
恋ばなにはいつも参加出来ないでいた。



学年が1つ上がった
中学2年の夏




学年全体の空気が何となく少し変わった。




夏休みに入り
花火大会
盆踊りと言った夜遊びの誘惑が
無知な子供を中途半端に大人に変えていった。




周りの友達から聞く
噂話



「○○ちゃん○○くんと付き合ったらしいよ」




「もう、ちゅーしたってさ!」




「朝帰りしたって聞いたよ」




そんな
誰から聞いたのか分からないが
事実かも分からないような話を
夢中になって話す友人達を
私は少し冷めた目で見ていた。




「自分には関係ない」




多分、どこかでそう思っていた



だから話のネタにされる事もなければ
する事もない。




興味なかった。
恋愛に?
男に?



そんな話をする彼女達に?




それとも現実に?



私は何もかも知らなすぎたのだ




人を好きになって
あんなにも苦しく切ない事を



どうしようもなく
愛しくて
触れたがる指先を必死で右手で抑える
歯がゆさを。




何でもない小さな事が
幸せなことを…






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