memoire
「行こ」
リッチャンはそう言って
バス乗り場へと歩き出す
私は頷き彼女の後ろに付いて
なれない下駄を鳴らして歩いた。
リッチャンの浴衣はピンク色
薄いピンク
ショートで黒髪
肌は白く
身長が小さい彼女にはよく似合っていた。
それに比べて私は
母が昔着ていた浴衣で
色は藍色
肌も別に白くないし
結っている髪は特にオシャレなわけではない。
並んで歩くのが恥ずかしくて
後ろを歩く
「ミーチャン、2学期始まったら
コンタクトで学校来なよ。
きっと皆びっくりするよ」
「いいよ…
そういうの苦手だし…」
話の中心になるのも
珍しがられてジロジロ見られるのもまっぴらごめんだ。
「もったいない。
美人さんなのに…」
「やめてよ…」
リッチャンのお世辞を軽くあしらうと
タイミングよく来たバスへと乗り込んだ。