memoire
車内は思った以上に
ぎゅうぎゅう詰め
花火大会とあってすごい人で
エヤコンはついているのかいないのか分からないほど
蒸せ返りそうな暑さの人口密度
私は取り敢えず隅に寄り
倒れないよう壁に手をつき
安全を確保
リッチャンはその私の隣で
私の腕を掴んでいた。
バスの後ろの方の席が妙に騒がしく
大人達は快くない顔をして
そちらの方向を睨んでいる。
人が多すぎて
どんな人達が騒いでいるのかは
伺い知る事は出来ないが
聞こえてくる
言動に、若者だと察する
それも
下品な。
「可愛い女いるかなー?」
「いたらソッコー話しかける!」
「お前じゃ無理!」
「ギャハハハ…」
関わらないのが一番
そう思った私は
早く目的地に着くのを祈りながら黙って窓の外を眺めていた。