それはまるで腐敗した果実のように



「じゃあ」

「うん、ありがとう」

悠希はそう言うと荷物を持って帰って行く。

「ちょ、今の何?何貰ったの?」

「林檎ジュース」

さっきまで遠くから好奇の目で見ていた紗耶香が悠希が帰ったのを確認して近寄ってきた。

「えーっ良いなあ!私も戸浦さんの林檎ジュース欲しいーっ!」

「紗耶香ってそんな悠希のこと好きだったっけ」

「好きっていうかぁ、憧れ?超格好良いじゃん戸浦さん!この女子校で唯一の目の保養みたいな」

「レズ?」

違うよーと顔を赤らめて言う紗耶香にも共感はできる。
この女ばかりの高校で悠希の存在は映えた。
髪が後退している教師よりずっと彼女は存在感があった。
彼女に憧れを抱く女子も少なくない。



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