青春跳び蹴り

何だかんだで満足しながら
席を立とうとすると、
隣から鼻をすする音が聞こえた。

あ、泣いてる。

私はそう思って顔を横に向ける。

横では可愛らしい顔の子が、
目を真っ赤にして泣いていた。

泣いてても可愛い。

私はそれに驚きながらも
教室に帰る用意をし始める。

すると、その子の彼氏らしき人が
頭をよしよしと撫でながら
涙を拭ってあげているのが見えた。

「…。」

これは可愛い光景だ。
とりあえず萌えておこう。

そんな変なことを考えて
視聴覚教室を出ると、
夏のムワッとした空気に
体を包まれて不快に思った。
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