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第1章 存在
痛みと涙
「紫月は悩みなんて、なさそうだよねー♪いつも明るくて強いじゃんっ」
学校の休み時間に、友達の高須 麻耶(タカス マヤ)がポツリと呟いた。
「あんたねー、いくらアタシでも悩みの一つや二つあるんだからねー(笑)」
アタシはそう言って
軽く笑ってみせた。
アタシは、野上 紫月(ノガミ シヅキ)高校二年の16歳。
地元でも、「人数が多く、スポーツが盛ん」と言われている私立高校に通っている。
中学の時から勉強が大嫌いで、部活ばかりしていた。
その為、学力はまったくと言っていいほど付かず、とてもじゃないけど公立高校に行けるような頭はなく、
進路を決める時期になった時、スポーツ特待で進学するしか方法がなかった。
根が明るく、人とのもめ事を避けて来たアタシは、周りからみたら、悩みなんてないように見えていたみたいだ。
アタシは今の友達や、周りの人達に支えられて今日まで生きてきた。
一年前のアタシは酷く傷ついて、ボロボロだった…
月日は一年前に
さかのぼる……