愛乗りシンドバッド
「ええ。
実際この目で
見たことはなかったけど、
私らの時代では
ルフが物資を運ぶ
商船を襲った話とか、
馬一頭をそのまま
丸呑みにしてしまった話とかは
よく耳にしましたから」

「……馬一頭を」

「信じられませんよね。
でも湘南の海岸で見たように
全て本当なんです。
今みたいにテレビも
なかった時代ですから
全部人づてですけどね。
……それに魔人も」

アッバーサさんは
そこで少し言いづらそうに
言葉をつぐみ、
ランプを灯している
廊下のほうへ出た。

「シンドバッド様。
おもてなしの用意も
そろそろ出来上がるので
ご一緒しましょう。
ご案内しますわ」
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