愛乗りシンドバッド
「この王家の秘術では
この世の全てを
知る事ができても
愛を知ることはできない。
むしろわからなく
なるばかりなんだ。」

そいつの頭の向こう側では
やたらに煌々と
星が輝いている。
まるでこいつの話が
全部本当だと示すように。

「ちなみに橋の上で
私とぶつかった拍子に
お前もこの術が使えるように
なったから。
この術を使ってきた奴らは
代々王となり
平安の世の中として
国を治めてきたから
お前も末は日本の大臣だな。」

「……ぷっ」

思わず吹いてしまった。
だって井戸端で
世間話でもしてるかのように
軽いトーンで言うもんだし、
何そのめちゃくちゃな論理。

……屋上から
落とされといてなんだが
悪い奴には見えないな。

…おかしな奴だ。

「おかしくない!」

と猫のように
パンチしてくるこいつ。

……本当におかしな奴だ。
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