愛乗りシンドバッド
「……やれやれ、
ちょいと調子に
乗りすぎたねぇお兄さん。」
「もうタダで済むとは
思わないほうが
いいですよ。」
そう言って俺のほうに
険しい顔をしながら、
詰め寄る2人。
その目からは
焦りの色がうかがえる。
そして銀色のそれを
指ではじくと
乾いた音を辺りに響かせ
そいつは無造作に
地べたへ転がった。
ジワリと滲む不穏な空気。
…といってもまぁ、
それはなんの変哲もない
ただの100円玉なわけで、
悔しそうに
息巻いてる2人は
病院の大部屋にて
たまたま同室となった
ただのお隣さんと
お向かいさんである。
「悪いね。
どうやら今日はツキが
味方しているらしい。
それにただのゲームだし
熱くならないならない。」