愛乗りシンドバッド
……なんでだろうか。
今は話したくない。

鳴り続ける携帯を
そのままポロシャツの
ポケットにしまい
バイクのキーリングを掴んで
部屋の明かりの
スイッチに手をかける。

その時ベッドの
枕元に置いた写真立てが
不意に目に入ってしまった。

幸せそうな2人。
切り取られた時間。
その笑顔の裏には
何を秘めていたのだろうか?

俺はそのまま襟を立てて
自分の部屋の扉を閉めると
足早にマンションの階段を
下りていった。
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