0-WORLD
そんな行く末ならば無様な俺を繕ったっていい。実際俺は捨てられた子供なのだ。
手を血に染めてしまった俺は、間もなく出口のない箱の中に放り込まれ、ゴミのはきだめマルクトに捨てられることになる。


「…は、強がったって俺は所詮こんなものさ。俺の閉所恐怖症は何処から来たのかつきとめてみるかいライ先生」


皮肉たっぷりにライを見つめた。
ライはどう反応すればいいか、悩んでいる様子だった。


「…ゼロ…!」


「勿論あんたの“思い遣り"なんかも必要ない。何も云うなよ、頼むから」


シャンに慰められる、それ以上の屈辱はなかったと云ってもいい。
酒のサカナに昔話を鳥渡。今の俺にとっては笑い話なのに、あんたは俺を憐れんだ。あの時の俺は、あんたの良心に潰されたんだよ。


「でも…」


苛立ちを覚えるほど、涙は止まらなかった。
はは、本気でやばいかもしれないな。俺は記憶を発症しているのかもしれない。断言は、したくなかった。

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